教員採用試験の2次試験の面接は、基準が明確な筆記試験とは違います。自分がどう評価されるのかわからず、対策を立てにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、計3回教員採用試験に合格し、個人面接では5段階中の最高評価だった私が、受かるためのポイントを解説します。
教員採用試験を受験する方のお役に立てると嬉しいです。
2次面接が合否に与える影響は?
まずは、2次試験の面接がどの位合否に影響を与えるのかを確認しましょう。
多くの教員採用試験は大まかに、
- 1次試験で筆記試験
- 2次試験で実技や面接試験
というパターンが中心です。2次試験でも筆記試験がある場合もありますが、いずれにしても2次試験における面接試験の比重は大きいといえます。
1次試験の筆記試験の得点が下位だった場合、他の受験生よりも面接試験で高得点を取る必要があります。
志望理由を軸にして考えを整理しておくだけでいい
では、面接で高得点をねらうにはどうすれば良いか?
一言で言えば、
志願理由を軸にして考えを整理しておくことが大切
ということです。
ここからは、その志願理由のポイントについて詳しく書いていきます。
2次面接に受かるための志望理由のポイント5選
「なぜ教員になりたいのか」を言語化して整理する
まず、なぜ教員になりたいのかを言語化して整理しましょう。これは、面接対策の基本中の基本です。
これは、採用試験対策に限らず全ての教員に必要なことです。試験のためだけのその場しのぎのものではなく、しっかりと言語化できるように整理しておくべきです。大切なのは、自分が本当に思っていることであることです。
まずは、あなた自身が「なぜ教員になりたいのか」を自問自答して言語化しましょう。
「教員になる!」という、採用試験そのものへのモチベーションを高めることにもなります。
どんな子どもを育てたいかを考える
「なぜ教員になりたいのか」を言語化した後は、「どんな子どもを育てたいか」を考えましょう。主語を「自分」から「子ども」へと変えていく作業です。
私は、この作業がかなり大切だと思っています。このことを、「子どもが好きだから」という、よくある志願理由を例に説明します。教員は日々子どもに関わる仕事ですから、子どもが好きであることに越したことはありません。しかし、
- 子どもが好きだから、授業をする
- 子どもが好きだから、一緒に遊ぶ
- 子どもが好きだから、寄り添う
…何か違うと思いませんか?教員は仕事ですから「子どもが好き」という自分目線だけで行うものではないと思うのです。その先の、「だからこそ子どもたちをこうしてあげたい」という視点が重要なのではないでしょうか?
「子どもが好き」というのは教員を目指すにあたって、素敵な志願理由だと思います。しかし、その先の「どんな子どもを育てたい」が無ければ、教師としての価値はありません。なぜなら、教員は「子どもを育てる仕事」だからです。
「子どもが好き」だから、
- 笑顔でみんなが幸せになるようなコミュニケーション力をつけてあげたい
- 将来幸せな人生を送るために必要な力を授業を通してつけてあげたい
- 元気のない子に寄り添い、その子が明るく生活できるよう自信をつけてあげたい
というように、「志願理由」を「どんな子を育てたいか」という点で整理し直していくことが大切です。
そのためには子どもとどう接していくべきか考える
自分で整理した「志願理由」と「育てたい子ども」について、さらに自分で質問を繰り返します。
- どんな指導をすればその「育てたい子どもの姿」を実現できるか
- なぜそう考えるようになったのか
- こんな子がいたら、育てたい子ども像にしていくためにどう接していくべきか
など、自分の教育に対する考え方を更に言語化して整理していくのです。このステップがとても重要です。
更に深く自問自答を繰り返して自身の教員観を言語化
ここまで整理して言語化してきたことを、更に深く自問自答を繰り返しながら自身の教員観を言語化していきます。志願理由からさらに踏み込んで
- どんな教師になりたいのか
- そのためにはどんな心構えで子どもと接するか
- その視点で考えると、どんな指導が適切だろうか
…などです。教職経験のない大学生などは、そこまでは難しいと考えるかもしれません。
でも、そこは安心してください。おそらく、面接官はその内容そのものに完璧な正解は求めていないと思います。
なぜなら、我々現場で経験を積んでいる教員ですら答えに行き着いていないからです。教員人生をかけてそれを追求していくのが我々の仕事です。最善を考えて追求し続け、常にその時の最善と思われる指導をしていくことが大切です。
少なくとも私が面接官なら、そのような姿勢の方を採用したいですし、そのような方と同僚として一緒に働きたいと思います。
単なる試験対策ととらえるのではなく、教員となった時に生かすつもりで考えを整理することが、教員になってからにつながり、結果として効率の良い採用試験対策にもなると考えます。
その自治体を志願した理由を言語化する
意外と忘れがちなのが「なぜその自治体を志願したのか」という点です。
これについては、自分の地元の自治体であれば「自分が生まれ育った故郷の子どもたちを育てたい」など、割と言いやすいと思います。
しかし、併願や別の事情でその他の自治体を受験した場合には事前に考えておく必要があります。
事情があってその自治体を選んだ場合には、その事情を素直に言語化しておくだけで良いでしょう。
併願の場合、「併願です」と素直に伝えることは適切ではないでしょう。
その場合には、募集要項などに書いてある「求める人材像」や「その自治体独自の取り組み」を調べてみましょう。ホームページなどですぐに確認できます。
その中から、共感できるものを探して、志望理由とするのも良いかもしれません。
その他の大切なポイント
ここまで、面接では「志望理由」を軸に考えを整理することが大切だと書いてきました。ここからは、その他の大切なポイントについて書いていきます。
志願理由の丸暗記はしない
たまに、一字一句すべてを丸暗記しようとしている人を見るのですが、私はあまり良くないと思います。面接官とのやりとりの中でそれを言おうとするとぎこちなくなってしまいますし、何より考えを整理できてさえいれば、暗記は不要です。
面接の礼儀作法には時間を割かない
ノックの仕方、ドアの開け方、荷物の置き方など、過剰な練習は必要ないと思います。最低限の練習は必要ですが、それよりも別の部分に時間をかけましょう。
本心を語る
本心で思っていないことを話しても、思っている以上に面接官に見透かされます。後輩の面接練習に面接官役として付き合ったときによく分かりました。
また、試験のためだけに取り繕って仮に合格しても、意味がないと思います。
ちなみに私が面接で答えた志願理由は、
「日々大きく成長する子どもたちの成長に寄り添える、教員という仕事に魅力を感じている。目の前の子どもたちの可能性を最大限支援できる教員になりたくて志願した。」
というようなことを言ったと思います。「思います」というのは、メモが残っているわけでもなく面接そのものの記憶も鮮明ではないからです。
ただ、面接当時も今も心からそのような想いでおり、単純に面接でもその本心を語ったということなのです。
志願理由が部活指導「だけ」は避ける
実は新規採用当初、私が教員を目指した理由の一つが「部活指導をしたかったから」です。それ自体に問題はないのかもしれませんが、
- 部活指導は本来の「教員」の業務ではない
- 全国的に部活動の地域移行を進めている最中である
ことを考えれば、部活指導だけを志願理由とするべきではないでしょう。
実施要項の「求める教師像」には必ず目を通す
実施要項の「求める教師像」には必ず目を通しておきましょう。自分の志願理由を、その教師像に当てはめておくと面接官にアピールしやすくなります。そもそも、ここまでの内容のようにしっかりと整理できていれば、求める教師像のいずれかには自分の思想が重なっているはずです。
最後に
私自身は採用試験の内部を知っている人間ではありませんから、あくまで私の経験をもとにした個人の見解です。
この記事が本気で教員になりたいと思っている方のお力に少しでもなれたなら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。