小中学生の夏休みの宿題の定番の一つが「読書感想文」です。
当然学校でも教員が指導しますが、家庭で子どもが取り組んでいる時には、
- 何から手をつければいい?
- どうやって書いたら良い?
- そもそも進め方がわからない…
などの困り事がつきものです。また、「子どもの手助けをしてあげたいけれどサポートの仕方がわからない」という保護者の方も多いでしょう。
そこでこの記事では、小中学生向けの読書感想文の書き方と進め方をわかりやすく解説します。小中学生はもちろん、親にできるサポートについても書いていきますので、保護者の皆様もお読みください。
そもそも読書感想文の目的は?
読者感想文の書き方・進め方について説明する前に、そもそも、読書感想文の目的は何なのかを確認しておきましょう。
私は、取り組み方次第では、読書感想文によって子どもたちの「本から学ぶ力」や「作文力」を伸ばすことができると考えています。
読書感想文を宿題として出すこと自体に賛否あるとは思います。私自身も教員として毎年必ず宿題とするのではなく、学年や子どもたちの実態に応じて出したり出さなかったりします。
いずれにしても、せっかく取り組むのですから、「本から学ぶ力」や「作文力」が高められるよう目的を明らかにしてから取り組みましょう。
ここからは実際にどのように読書感想文の課題を進めていくのかを解説していきます。
まずは本選び
読書感想文を書くためにまずやることは、本選びです。何となく決めてしまうことも多いこの本選びが、実はかなり重要です。
結論から言うと、
自分で決めれば、何でもいい。
ただこれだけです。難しいことは一切ありません。なぜ、自分で本を選ぶことが重要なのかというと、
- その本をなぜ選んだのか
- どこで見つけたのか
- その本に惹かれた理由は?
など、本選びの段階から自分が思ったり体験したりしたことは、そのまま読書感想文に書くことができるからです。また、自分が興味を持って読めそうなレベルのものを選べるという利点もあります。
メモしながら選んだ本を読む
次に、その本を読みましょう。その際、以下のことを紙やノートなどにメモしながら読むようにすると良いです。
- いいなと思った主人公の行動やセリフ
- 気に入った場面
- 驚いたこと
- 自分と似ていると思ったこと
そうすることで、感想文の記入にスムーズに入れます。ただ、低学年にとっては難しいですし、高学年でもそんなことはしないで普通に読み進めたい子もいますから、強制はしないことが大切です。また、メモのとり方なども細かく指定する必要はないですし、親がチェックする必要もないでしょう。とにかくきちんと読みさえすれば大丈夫です。
読書感想文を書く
初め・中・終わりの構成を確認
いよいよここから実際に読書感想文を書いていきます。まずは、「初め」「中」「終わり」という基本的な作文の文章構成を確認しておく必要があります。
- 「初め」→ これから書くことを簡単に説明したり、自分の意見を書いたりする。
- 「中」→ 具体的な(くわしい)できごとや気持ちを書いたり、自分の意見の根拠(理由)を書いたりする。
- 「終わり」→文章のまとめの部分。できごとを通して考えたことや学んだことを書いたり、自分の意見をもう一度主張したりする。
この基本を確認した上で、これに沿って読書感想文を書いていきます。
「初め」には、なぜその本を選んだのかを書く
「初め」には、その本との出会いやなぜその本を選んだかについて書きます。もともと興味を持っている内容だから気になったとか、タイトルになんとなく惹かれたなどで十分です。表紙が目立っていたとか、友達が読んでいたからなどでもいいですね。おそらく「なんとなく」選ぶ人も多いと思います。大切なのは、その「なんとなく」をごまかすのではなく、しっかり言葉にすることです。
子どもが書くのに困っているときは、実際に本を選んだ場面を思い出しながら、「選んでいるとき、こんなこと言っていたよ」「そういえば、選んでいるとき◯◯と迷っていたけれど、どうしてこっちにしたんだっけ?」など、具体的な場面を思い出せるように声かけをしてあげましょう。
「中」には、簡単なあらすじと自分の考え
ここが読書感想文のメインです。読書「感想文」ですから、自分の考えや感想を書くことを大切にしましょう。あらすじや主人公のしたことなどだけの文章にならないように気をつけたいところです。
「中」その1…簡単なあらすじ
「中」の最初には、簡単なあらすじを書くと良いです。あらすじを一から書くのは難しいですし、あらすじはメインではありませんので、背表紙などに書かれているあらすじを短くまとめて書くと良いでしょう。
「中」その2…自分の感想(経験とともに)【ここが一番大事】
簡単なあらすじの後は、自分の感想を経験とともに書きましょう。以下の例の中からいくつか書けそうなものを選んで書くと良いです。ポイントは、自分の経験を思い出しながら書くことです。ここが読書感想文の最も重要な部分であり、子どもたちが最も苦手とする部分です。お子さんが困っていて、書くときにそばにいてあげられる場合には、お子様に質問を投げかけてあげながら一緒に進めると良いです。質問されることで自分の経験と照らし合わせやすくなります。
例:好きな場面や印象に残った言葉
(例)私は、〇〇が○○する場面で、主人公が言った「~~~」というセリフが印象に残りました。私が習っているサッカーも同じだと思ったからです。私は、○年生の時からサッカーをはじめて…(印象に残った「〜〜〜」というセリフとサッカーが結びつくように、具体的に書く)…。だからサッカーも「〜〜〜」が大切なのだと私は思いました。
例:読んでいる最中や読み終えた時のエピソード
(例)私は、この物語を読みながらとても心がワクワクしました。主人公が暮らす世界では、ささいなことも大きな喜びに感じられます。たくさんの仲間と暮らす日々の何気ない幸せが明るく描かれています。〇〇が〇〇したピンチの場面がおとずれますが、それを○〇して乗り越えた仲間たちとの絆も素敵でした。この物語を読み終えてから自分の身の回りの小さな幸せに気がつくことができるようになった気がします。例えば…。
例:気に入った登場人物と、自分ならどうするか
(例)私は、〇〇の場面で主人公を助けた〇〇という登場人物が気に入りました。○○な所が格好良いと思ったからです。私だったらこの場面で〇〇のように○○な行動は取れなかったかもしれません。…(気に入った登場人物の行動と自分を比べて、違いや似ている所を具体的に書く)…。読む前の予想と読み始めてからの印象の違いなど。
例:読む前の予想と読み始めてからの印象の違い
(例)私は、あまり話したことのない人と話すことが苦手です。そんな自分の性格もあり、この本を読むまでは誰とでも仲良くなるなんてことは無理だし、そんな必要はないと思っていました。しかし、主人公の〇〇な姿を通して、その考えが少しかわりました。…(自分のこれまでのことや、自分の考えを変えるきっかけとなった本の内容について書く)…。主人公の〇〇な部分を見て、私ももう少し話したことのない人と話をしてみようかなという気持ちになりました。主人公が〇〇したように、私も〇〇できるかなと思ったからです。
「終わり」には、本を通して自分が考えたことや学んだことなどを書く
「終わり」には、自分がこの本から何を考え、何を学んだのかを書きましょう。これが、読書感想文全体のまとめとなります。ここでは「中」で具体的に記入した内容について、整理するだけでも良いと思います。
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございました。ここまで書いてきた内容は、私がこれまで小学校で指導してきたことを整理したものです。様々な考え方の一つとお考えください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。