【算数指導】等号=の意味と小学生でもイコールと読むべき理由

算数・数学

算数・数学の等式で使われる記号である等号(=)は、通常「イコール」と読みますが、小学生への学習指導では多くの場合「は」と読むことが多いです。

しかし私は、小学校3年生くらいからは「イコール」と読むのが良いと考えています。それは、等号(=)の意味と関係があります。

この記事では、学習塾→中学校教員→小学校教員として算数・数学を専門に指導してきた私の経験から、等号(=)の正しい意味と、小学生でも等号(=)をイコールと読むべきだと考えている理由を解説していきます。

等号(=)と不等号(>,<)の意味と小学校での指導

まずは等号(=)の意味を確認しましょう。教科書出版会社である「啓林館」のHPには、等号(=)と不等号(>,<)の意味と小学校での指導について以下のように説明しています。

「=」のことを等号といい,「=」の両側の表すものが等しいという関係(相等関係)を表します。また,「>,<」のことを不等号といい,左辺と右辺の値の大小関係を表します。
等号を使って表した式(150=90+60等)を等式といいます。不等号を使って表した式(150<90+70 等)を不等式といいます。ただし,等号や不等号の用語は第3学年の指導内容で,等式や不等式の用語は指導内容ではありません。

振興出版社啓林館ホームページ

つまり、等号(=)は、その両側(両辺という)の表すものが等しいという関係を表すものであるということです。

等号(=)の読み方については、私が調べた中では、指導上の読み方にきまりはありません。私の経験上、小学校ではほとんどの教員が「は」と読み、中学校ではほとんどが「イコール」と読んでいるという印象です。

等号=の意味を正しく理解するために小学生でも「イコール」と読む

そんな現状の中、私は小学生でも等号=を「イコール」と読むべきだと考えています。それは、等号=の意味を正しく理解するためです。

等号=は「答えを表す記号」ではない

1+2=3を「1たす2は3」のように、=を「は」と読むことが多いです。小学校低学年にとっては、これが最もシンプルでわかりやすい方法だと思いますし、私もそれを否定しません。

しかし、中学年、高学年になっても=を「は」と読み続けていると、等号=の意味を正しく理解することができない可能性があります。それは、「は」を使うことにより、=という記号が「答えを表す記号」である、という誤解が生じる可能性があるということです。

例えば、1+2=3という式で考えた時に、=を「は」と読むと、

1+2(の答え)「は」

と誤解してとらえてしまうケースが、小学生に多く見られます。この場合、あくまで正しくは

=ではさまれた「1+2」と「3」が、等しいことを表している

ということになります。このことを理解した上で=を「イコール」と読めば、=が答えを表す記号であるという誤解を減らすことができます。

大して問題ではなさそうに思えますが、後々の理解を深めるために重要になってきます。

等号=の意味の理解は等式や方程式の理解につながる

上の例のように、単純な計算だけを扱うのであれば、=を「答えを表す記号」だととらえていても特に困ることはありません。しかし、方程式を理解する上では、そのような誤解が理解を妨げることになってしまいます。

方程式そのものの学習は中学生から始まりますが、小学生でも⬜︎を使った等式の学習などで、方程式に近い概念を学習します。方程式というは、=の左右(両辺という)に同じ計算をして式を変形させていくことで⬜︎などで表した未知の数を求めていくというものです。

例えば、⬜︎+3=15という簡単な方程式を考えてみましょう。等号=は左右の数が等しいことを表しているので、=の左右に同じ数を足したり引いたりしても、そのバランスは変わらないということが理解できます。

=の左側(左辺)の⬜︎+3から3を引き、=の右側(右辺)の15からも3を引くと、⬜︎+3−3=15−3 つまり、⬜︎=12と変形できます。これを省略して書いた場合に、左辺の+3が右辺に−3となって移動したように見えることから「移項(いこう)」するといいます。実際には、移動しているのではなく、あくまで=の左右に同じ計算をするということが基本です。この繰り返しで式を変形させていくことで方程式を解くことができるのです。

このように「等号=の意味を正しく理解していること」は正しく式変形する上で重要です。

「イコール」と読むこと自体が目的ではない

ここまで、小学生でも等号=をイコールと読むべきだと考えている理由について書いてきました。

等号(=)をイコールと読む目的は「等号(=)の意味を正しく理解すること」です。決して「イコール」と読むこと自体が目的ではありません

等号の意味を子どもが正しく理解しないまま、ただ読み方だけを「イコール」とかえても意味がありません。

この記事が等号(=)の読み方だけでなく、等号(=)の正しい意味を理解することにつながれば嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました