なぜ宿題をやる必要があるの?目的を知り家庭学習の習慣をつけよう

家庭学習と子育て

学校では子どもたちに対して、当たり前のように「宿題」が出されます。しかし、最近では、

  • 宿題は必要ないのではないか
  • いや、宿題は必要だ
  • 宿題は多すぎる
  • 宿題の丸つけが負担だ

など、様々な意見が言われるようになっています。この記事では、元塾講師、現教員という2つの立場から、宿題の目的やそれを踏まえた家庭学習への親の関わり方について書いていきます。

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宿題の目的は何?

そもそも、宿題を出す目的は何なのでしょうか?私が宿題を出す場合には、子どもたちや保護者の方々に説明をした上で、以下の3つの目的で出すようにしています。

基礎的学力の定着

学校の授業だけでは、基礎的学力の定着に十分な練習時間を確保することが難しい場合があります。算数・数学であれば、基礎的な計算練習や授業でやった内容の反復練習を宿題として出すことで、基礎的学力の定着を図ることを目的にしています。また、小学生の国語については漢字練習を宿題として出します。これは私の考えですが、漢字練習にこれだけ時間を割けるのは小学生のときだけだと思います。基礎的な漢字の力をつける目的で宿題を出しています。

ちなみに、元塾講師の立場として言えば、宿題はこの「基礎的学力の定着」という目的メインでした。なぜなら、子どもたちの「テストの点数を上げる」という明確な目的があり、お金を頂いていたからです。テストの点数を上げるには基礎的学力の向上が欠かせず、そのための十分な量を確保するために宿題を出していました。

家(学校以外)で学習する習慣をつけること

2つ目の目的は、家(学校以外)で学習する習慣をつけることです。宿題反対派の意見として、大人に残業させるようなものだと聞いたことがありますが、私はその考えにはやや否定的な立場です。なぜなら、受験をはじめとする今の教育システムにおいては、学校や塾の授業以外にも自分で学習する時間がどうしても必要だからです。小学生のうちから短い時間でも家などの学校以外の場所で学習する習慣をつけることは、ある程度必要なことだと考えます。

また、どんな分野においても、自らスキルを身に付けようと思った時には、職場や学校以外で学ぶ(練習する)ことが必要になります。その素地として、学校以外で学習する習慣をつけることはある程度必要なのではないでしょうか。

時間や学習を自分で管理する力をつけること

3つ目の目的は、時間や学習を自分で管理する力をつけることです。子どもが自ら、

  • 「今日の宿題は多いから、早めに取り組んだほうがよさそう」
  • 「この日は用事があって宿題できないから、前の日までに終わらせておこう」
  • 「毎日これくらいずつ進めればいいだろう」(長期休みの宿題などの学習計画)

など、時間を自分で管理する力をつけることが大切であると考えています。また、学習について自分で進めること(誰かに助けを求めるなども含めて)も、宿題の役割であると考えています。

宿題はあくまで目的達成のための手段

ここで改めて「宿題は必要なのか?」という問いについて考えます。その問いに対しての私の答えは、

上記3つの目的達成に必要ならば、宿題を出せばよい

です。具体的にいえば、上記3つの目的が宿題を出さなくても達成できるのであれば、宿題は必要ないと思います。宿題はあくまで目的達成のための一つの手段ですから。例えば、

  • 授業内で定着の時間を確保でき、習熟が十分であるとき
  • 宿題を出さなくても、自主的な学習を子どもたちが自ら行っている場合
  • 宿題の力を借りなくても、時間や学習の管理が適切に行えている場合

などの場合は宿題は必要ないと思います。もう少し具体的に自分の考え方をお伝えすると、

  • 小学校低学年は、少ない量でもある程度毎日宿題を出して、家庭での学習習慣をつける
  • 小学校高学年~中学生は、毎日ではなく1週間単位など期間を区切って宿題を出し、各自のペースで取り組めるようにすることで、時間管理の力につなげる
  • 校種、学年関係なく、宿題を出す場合には量は少なくて良い
  • 受験シーズンは、宿題を出さない(必要に応じて個別対応する)
  • 小学生でも、宿題の丸つけは自分でやるようにする(学習を自分で管理する力をつける)

というのがざっくりとした私の考えです。もちろん、その時々の子どもたちの実態によります。

家庭学習への親のかかわり方

ここからは、親が家庭学習にどう関わっていくかということを書いていきます。あえて「宿題」ではなく「家庭学習」という言葉を使ったのは、宿題が出ていなくても家庭での学習は必要だからです。

宿題の目的を理解する

親が何のためかわからないと思っていることを子どもにやらせる、というのは良くないと思います。子どもは親の考えていることに敏感ですから。間違っても宿題について「そんなの意味ないよ」などと言わないようにしてほしいと思います。子どもに力をつけるには、目的を親がきちんと理解していることが最低限必要です。本来宿題が出される場合には、その目的が説明されているべきだとは思いますが、もし説明されていないのであればこの記事の3つの目的を理解していただければと思います。

目的を理解した上で声掛けをする

その目的を理解した上での声掛けが必要になってきます。例えば、なかなか宿題に取り組まないお子様に対しては「早くやりなさい」という怒りではなく、「いつやろうと思ってるの?」と単純に質問を投げかけることで、いつ学習するかを自分で考える機会を与えられると思います。

また、「宿題」が出されていない場合でも、お子様の理解度等に応じて必要な学習を一緒に考えるなどのサポートも必要です。

家庭で学習しやすい環境づくり

家庭で学習しやすい環境づくりは欠かせません。例えば、

  • 子どもが学習するときに、できるだけ近くにいてあげる(特に小学校低学年)
  • 親の目の届くところで学習させる
  • 子供が分からないところを質問できる雰囲気を作ってあげる(特に小学生)
  • 辞書や図鑑など、子どもが調べたいときに調べられる環境をつくる

などが考えられると思います。また、学校から宿題の丸つけを親がするよう頼まれたときには、以下の記事のように対応するのがよいと思います。

子どもが学習しようとしたときに、しっかりと集中できる学習しやすい環境づくりを行うことが、子どもの成長に大切です。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました。宿題については、様々な意見が分かれるところだと思いますが、「ただやれ」や「そんなの意味ないよね」などを親から子どもに伝えてしまえば、子どもの思考停止につながりかねません。大切なのは、親自身が目的を明らかにして家庭学習にかかわっていくことだと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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