私は現在、小学校教員として勤務しています。
しかし、私の通っていた大学では中学高校の教員免許しか取得できませんでした。実際私は、大学以外で小学校教員免許を取得しました。では、どのようにして私は小学校教員免許を取得したのか…?
それが、文部科学省認定の「小学校教員資格認定試験」です。
この試験に合格すれば、大学に通うことなく教員免許状を取得することができます。
この記事では、
- 教員免許状を持っていない、教員を目指す社会人の方
- 自分が通う大学では取得できない小学校教員免許を取得したい大学生の方
などに向けて、大学に通う以外の方法で小学校教員免許を取得できる「小学校教員資格認定試験」について解説していきます。
一般的な教員免許の取得方法
まずは、一般的な教員免許状の取得方法について確認しておきましょう。
大学で単位を履修する
大学に入学して単位を履修することで、教員免許状を取得できます。
この方法で免許を取得し、教員になる方がほとんどです。
通信制大学で単位を履修する
他には、教員免許状を取得できる大学の通信課程で単位を取得するという方法があります。
この場合、取得できる免許状が限られているなど、確認が必要です。
通信制大学で取得可能な免許状
通信制大学で教員免許状を取得しようとした場合には、
- 小学校
- 中学校
- 高校
- 特別支援学校
などが取得可能です。大学ごとに異なるため、事前の確認が必要です。
リンク:私立大学通信教育協会HP「取得できる教員免許状・主な諸資格」
期間や費用
通信課程で単位を取得する場合、通常2年程度かかります。また、大学や教員免許の有無などにもよりますが費用はおよそ40万円程度かかります。
教員資格認定試験の概要
ここからは、文部科学省認定の「教員資格認定試験」について解説していきます。
取得できる教員免許状
文部科学省認定の教員資格認定試験は
- 小学校
- 幼稚園
- 特別支援学校
- 高等学校(情報)※令和6年度試験より
の4種類あります。
この記事では小学校教員免許の取得を中心にお伝えしますが、その他に「幼稚園教員免許」、「特別支援教員免許」、「高等学校教員免許(情報)」も取得できる点はおさえておきたいところです。
特に、高等学校の情報科教員免許は、過去に停止されていた試験が令和6年度試験より再開されるとのことですので、確認しておきましょう。
期間や費用
教員資格認定試験で免許状を取得する場合は、1次試験1日+2次試験2日間のたった3日間で取得できてしまいます。
しかも、費用は受験料のみでたったの25,000円です。
合格率や難易度
「小学校教員資格認定試験」の合格率は、
- 2018(平成30)年度…13.2%
- 2019(平成31,令和元)年度…31.8%
- 2020(令和2)年度…22.5%
- 2021(令和3)年度…21.7%
- 2022(令和4)年度…17.3%
となっています。
参考:独立行政法人教職員支援機構HP「教員資格認定試験過去の実施結果について」
合格率からわかる通り、毎年ばらつきはあるものの、
難易度は決して低くはない
と言えるでしょう。
試験内容と合格基準
具体的な試験の内容を紹介します。(令和5年度の場合)
科目ごとに合格基準があるという点には注意が必要です。
1次試験
教科及び教職に関する科目(Ⅰ)
内容
「教職専門科目に関する内容」(筆記試験:マークシートによる択一式)
いわゆる「教職教養」とよばれる分野から出題されます。
合格基準
満点の6割以上を合格とする。
教科及び教職に関する科目(Ⅱ)
内容
「小学校の各教科の具体的指導場面を想定した指導法及びこれに付随する基礎的な教科内容」(筆記試験:マークシートによる択一式)
※10科目の中から6教科を選んで受験する。(「音楽」「図工」「体育」のうちから2教科以上を含めること)
合格基準
選択した6教科の満点合計の6割以上を合格とする。ただし選択した6教科のうち1教科でも最低基準(4割)に満たない場合は不合格とする。
教科及び教職に関する科目(Ⅲ)
内容
「小学校の各教科の具体的指導場面を想定した指導法及びこれに付随する基礎的な教科内容」(筆記試験:論述式)
合格基準
満点の6割以上を合格とする。
教科及び教職に関する科目(Ⅳ)
内容
「教職への理解及び意欲、児童理解、実践的指導等小学校教員として必要な能力等の全般に関する事項」(筆記試験:論述式)
合格基準
A・Bの2段階評価とし、Aを合格とする。
2次試験
教職への理解及び意欲、小学校教員として必要な実践的指導に関する事項
内容
指導案作成、模擬授業、口述試験(個別面接等)
合格基準
複数課題について、総合的にA・Bの2段階で評価し、Aを合格とする。
教員資格認定試験のメリット
費用が安い
何よりもまず、費用がかからないことです。かかるのは受験料と会場までの交通費、あとは試験対策用のテキスト代程度です。
教員採用試験の対策と重なる部分が多い
受験対策の学習が、教員採用試験対策と重なる点が多いということもメリットと言えます。
教員免許状を取得しようとする方の多くは、教員になろうとする方がだと思います。教員になるためには、免許取得の他に教員採用試験に合格しなければなりません。
小学校教員資格認定試験と小学校教員採用試験の内容は重なる部分が多く、認定試験対策がそのまま採用試験対策にもなります。
注意点
「取得見込」で教員採用試験を受験した場合
教員資格認定試験を受験するにあたり、注意して欲しいのは、「取得見込みで教員採用試験を受験する場合」です。
通常、大学などに通って教員免許状を取得する場合、免許状の交付は卒業年の3月末となります。そのため、教員採用試験は免許状の「取得見込み」で受験することができます。
教員資格認定試験を受験する場合でもこの「取得見込み」での受験が認められているのです。
これはメリットであると同時に、せっかく採用試験に合格できても、資格認定試験に合格しなければ採用辞退せざるを得ないことを意味します。
その点は注意が必要です。
取得できるのは2種免許状
教員資格認定試験で取得できる教員免許状は1種ではなく2種免許状であることも注意が必要です。
通常の勤務では問題になることはありませんが、教職大学院への進学を希望する場合などに1種免許状が必要になることもあります。2種免許状を1種免許状にするための方法については、以下の記事で詳しく書いています。
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました。この記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。