「どうして勉強しないといけないの?」
こんなふうに子どもに聞かれたとき、親としてどう答えますか?
この記事では、
- 子どもが学習する目的
- 「どうして勉強しないといけないの?」という子どもの疑問への答え方
について書いていきます。お子様に聞かれたときなどの参考にしていただければ嬉しいです。
子どもが「なんで勉強しないといけないの?」と聞くとき
そもそも、子どもが「なんで勉強しないといけないの?」と聞くときはどんなときなのでしょう?
「勉強したくない、面倒くさい。なんでやらなきゃいけないんだろう…」
という学習に対してネガティブな感情を持っているときや、
「これは何に役立つのだろう?どんな所に役立つのかな?もっと知りたいな」
という純粋に好奇心に満ちたポジティブな感情を持っているときなど、様々な場面が考えられるでしょう。
いずれの場合でも、学習の目的を明らかにすることで、子どものやる気アップにつながります。
答え方次第では、子どものやる気は大きく下がる
逆に、この質問への答え方次第では子どものやる気は大きく下がるでしょう。
- 辛いことに耐えるためだ
- そんなこと考えてる暇あるなら勉強しろ
- みんなやってるからだ
のように答えてしまえば、子どものやる気は大きく下がるでしょう。「勉強そのものに価値が無い」ことを説明されているようなものです。
子どものやる気を引き出すチャンスととらえる
逆に言えば、子どものやる気を引き出すチャンスでもあります。
勉強をする意味や目的を見出すことができた子どもは、放っておいても勉強するのです。
学習の目的は「いろいろなものの見方や考え方を知る」ため
ここからは「なぜ学習するのか?」という学習の目的を考えていきましょう。まず前提として、学習の目的は人それぞれ違うはずで、たくさんあっていいと思います。
その上で、私は学習する目的を
いろいろなものの見方や考え方を知るため
だと考えています。私が今、子どもから「なぜ勉強するのか?」と問われたら、この一言を答えるでしょう。なぜなら、それは
豊かで幸せな人生を送ることにつながる
と考えているからです。私は、学校教育や学習活動そのものの価値を広い意味で表しているのが、この一言だと思っています。
ここからは、いろいろなものの見方や考え方を知るという点について、もう少し細かく解説していきます。
物事を様々な角度から見て考える力
学習は、物事をさまざまな角度から見て考える力をつけることにつながります。
以下の一つの写真を例に、考えてみましょう。
国語の考え方で見る
国語では、言葉を正しく読み、書く、聞く、話す力をつける学習をします。「読む」部分には、見たものを正しく言語化することも含まれます。
「読む」「書く」力を使って写真を言語化すると、
「木製のおぼんの上に、きゅうすと、お茶が入った2つの湯飲み茶碗が並んでいる。湯呑みからは、湯気が立ち上っている」
などと表せます。
算数・数学の考え方で見る
算数・数学では、物事を順序立てて整理する論理的思考力を高めます。小学校段階での算数では、基本的な数の概念や計算、そして「量感」と言われる、数量に対するおよその見当をつける力も身につけます。
それらの数の概念でこの写真を見ると、
「湯呑みに入っているお茶はどのくらいだろう?…およそ200ml位だろうか?200mlだとすると、隣の急須の容積は…」
という見方もできるでしょう。このように、数的にとらえるというのは算数・数学を学習していなければ生まれない考え方といえます。
教科それぞれの視点を獲得することが大切
「国語」と「算数・数学」について紹介しましたが、写真1枚だけでも教科ごとにたくさんの視点があります。勉強してそれぞれの教科の視点を獲得することは、物事を見る時の見方を広げることになります。
学習したことを使う力
学習は、学んだしたことを使う力とつけることにつながります。
日常で使う
小学校低学年を例に考えるとわかりやすいかもしれません。
- 算数で学んだ数を使って、数を数える
- 国語で習った「ひらがな」を使って、自分の気持ちを文字に表す
- 算数で時計の見方を教わったから、時間が分かるようになった
など、大人からすると出来て当たり前のようなことは、勉強によって身についていきます。小学校低学年の担任を経験するとよくわかります。
学習したことを、別の単元で活用する
小学校高学年や中学生の学習でも日常で活用する学習をすることもありますが、学年が上がるにしたがって学習の抽象度が上がり、日常での活用は少なくなってきます。しかし、「学習したことを新たな単元で活用する」場面はむしろ多くなります。
- 算数で、わり算や分数の知識を使って「割合」を求める
- 数学で、連立方程式の解き方で、1次関数のグラフ上の交点を求める
などが例として挙げられます。
つけた力は学校の学習以外でも生かされる
ここまでお読みいただいた方の中には、日常生活が送れるレベル知識が身につけば勉強の必要はないのでは?というふうに思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
いわゆる学校で学ぶ「教科」学習で身につけた学んだことを使う力は、学校以外でも生かされます。
- 会社で新システムが導入された。それについて勉強した後、実際にそれを使って業務を進める。
- 趣味のゴルフを教わった。教わったことを活かして、スコアアップにつなげたい。
など、我々大人でも日常的に、学習して学んだことを実際に使う力というのは日々使っている力です。学校は、いわばその予行練習と考えることもできるでしょう。
いろいろな考え方を理解する
学習は、いろいろな考え方を理解することにもつながります。
教科学習から
教科の学習そのものから、いろいろな考え方を学ぶこともできます。社会科を例にして考えるとわかりやすいと思います。
- 歴史を学び、時代ごと人々の考え方の違いを知る
- 産業の学習で、さまざまなものづくりをしている人々の思いを知る
- 地理の学習で、地域ごとの特色を学び、それぞれの地域に人々の考え方に触れる
など、いろいろな考え方を理解することにつながるでしょう。
仲間と意見交換しながら
教科の内容そのものではなく、教科学習での「問い」に対して仲間と意見交換しながら、
- 自分と似ているが少し違う考え方
- 自分とは違う、全く正反対の考え方
- 仲間と対話する中で生まれた、新たな考え方
などの様々な考え方に触れることが大切です。自分と異なる意見を理解することは、物事を様々な角度から見ることにつながります。
親が本心で語ってあげることが大切
大切なのは、勉強する意味を本心で語ってあげることだと思います。子どもは大人の本心を見抜きます。本心で「勉強なんかやらなくていい」と思っている大人が「勉強は大事だ」なんて言っても、子どもには伝わりません。
ここまでの記事を参考に、親自身が自分なりに「学習の意味や目的」を考え、自分の意見としてお子様に伝えてあげることが大切なのではないでしょうか?
【まとめ】親なりに真剣に考えて子どもに伝えてあげることが、子どものやる気を引き出す
繰り返しますが、私は勉強は、
「いろいろな考え方を学ぶ」
ためにすると整理しています。そして、色々な見方や考え方を知ることが、豊かに生きていくために大切なものだと思っています。
ただ、この考えを押しつける気はありません。人それぞれ色々な考え方があってよいと思います。やがては子どもたち自身が自分なりに意味を見つけ、そのために学習を進めることができたら素晴らしいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。大切なのは、親なりに考え、それを子どもに伝えてあげることだと思います。それが、子どものやる気を引き出す答えに近づくということだと思います。この記事が、その考えるきっかけとなればいいなと思います。