小学6年生で学習する「分数のわり算」。そこでは、
6÷\(\displaystyle\frac{3}{4}\)
のように、割る数が分数である計算を扱います。この計算は、
6×\(\displaystyle\frac{4}{3}\)
のように、÷を×に直して、割る数の分数の分子と分母を逆にして(ひっくり返して)計算すると正しい答えを求められます。
この記事では、分数のわり算をそのように計算するのはなぜか?という理由について解説していきます。
ひっくり返してかけることを確認する前に(前提知識)
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ひっくり返してかけることを確認する前に、その説明の前提となる知識について確認しておきましょう。
分数の分子と分母に同じ数をかけても答えは変わらない
分数の分子と分母に同じ数をかけても答えは変わらないことは、確認しておきたいところです。
なぜなら、分子と分母の数が同じということは、×1と同じだからです。
(例)2×\(\displaystyle\frac{3}{3}\) ←同じ→ 2×1
そして、どんな数に1をかけても答えはかわりません。
分母は分母、分子は分子同士で割る
6÷\(\displaystyle\frac{3}{4}\)
=\(\displaystyle\frac{6}{1}\)÷\(\displaystyle\frac{3}{4}\)
=\(\displaystyle\frac{6÷3}{1÷4}\)
のように、分数の割り算は、分母は分母同士、分子は分子同士で計算します。これは、かけ算と同じです。
ひっくり返してかけることの理由(本題)
では、「ひっくり返してかけるのはなぜか?」という本題に入りましょう。
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ここでは、例として、
6÷\(\displaystyle\frac{3}{4}\)
の計算について取り上げます。まずは、前提知識2の通りに式を、
\(\displaystyle\frac{6÷3}{1÷4}\)
と変形させて、この式について考えていきます。
分母と分子に「割る数の分母」と同じ数をかける
前提知識1では、分数の分子と分母に同じ数をかけても答えは変わらないことを確認しました。そこで、分子と分母に「割る数の分母」である4をかけていきます。すると、
\(\displaystyle\frac{6÷3×4}{1÷4×4}\)
のように式を変形させることができます。
分母と分子に「割る数の分子」と同じ数をかける
次に、同じように、分子と分母に「割る数の分母」である3をかけていきます。すると、
\(\displaystyle\frac{6÷3×4×3}{1÷4×4×3}\)
のように式を変形させることができます。
分子は分子、分母は分母で計算して式を簡単にする
変形させた分数の分子は分子、分母は分母で計算して式を簡単にしていきます。
\(\displaystyle\frac{6÷3×4×3}{1÷4×4×3}\)
上の式の色がついた「÷3×3」と「÷4×4」の部分は、どちらも計算すると1になりますから、
\(\displaystyle\frac{6×4×1}{1×1×3}\)
となります。
結果として「ひっくり返してかける」ように見える
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ここまでの式変形を、式にまとめてみます。
6÷\(\displaystyle\frac{3}{4}\)
=\(\displaystyle\frac{6÷3}{1÷4}\)
=\(\displaystyle\frac{6÷3×4}{1÷4×4}\)
=\(\displaystyle\frac{6÷3×4×3}{1÷4×4×3}\)
=\(\displaystyle\frac{6×4×1}{1×1×3}\)
=\(\displaystyle\frac{6×4}{1×3}\)
=6×\(\displaystyle\frac{4}{3}\)
このように、結果として÷\(\displaystyle\frac{3}{4}\)の部分が×\(\displaystyle\frac{4}{3}\)に変わったように見えます。
これが、分数のわり算で「ひっくり返してかける」理由です。
正しくは「割る数を逆数にしてかける」という
ここまで、「ひっくり返してかける」という言い方をしてきましたが、これは正しい言い方ではありません。
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正しくは「逆数」という言葉を使います。「逆数」とは、ある数にかけると1になる数のことです。教科書などには「ひっくり返してかける」という言い方はせず、
「割る数の逆数をかける」
という言い方をしていますので、覚えておきましょう。
まとめ
ここまで、分数の割り算は、なぜひっくり返してかけるのか?(逆数をかけるのか?)という点について書いてきました。
算数や数学を学んでいく上で、「なぜそうなるのか?」を考えることはとても重要ですし、そこを考えることに算数数学をまなぶ楽しさがあります。この記事の他にも、以下の記事では算数数学に関わる「なぜ?」を取り上げて記事にしていますので是非ご覧ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。