私は、道徳授業でGoogleスプレッドシートを活用して、子どもたちの考えの可視化と対話の活性化を目指しています。
この記事では、なぜスプレッドシートを活用するかや、具体的な活用法、さらには活用してわかった成果や課題について書いていきます。
子ども同士が本音で対話することが重要
道徳の授業では、教師と子どもの1対1のやりとりではなく、子どもたち同士で道徳的価値を高め合う場を作ることが大切です。そのためには、児童同士の本音での対話が特に大切であると考えています。
対話を活性化するためには、お互いの意見を可視化して共有することが大切だと考えた私は、道徳授業でGoogleスプレッドシートを活用してきました。
「心のメーター」をスプレッドシートで可視化
児童同士の対話を活性化させるためには、まず各自の考えを可視化することが有効であると考えています。私は、考えの可視化の方法の1つとして「心のメーター」というものを活用しています。
自分の考えはA・B2つの考えの間のどの辺りかを、チェックボックスで表すことで、可視化します。クラス全体で共有することで、児童同士の対話の切り口となると考えています。その手段として、Googleスプレッドシートを活用しています。
なぜ、スプレッドシートなのか
考えの可視化にスプレッドシートを選んだのには以下のような理由があります。
考えをリアルタイムで更新できる
道徳の授業では、仲間と対話しながら考えを深めていくことが大切だと思っています。そこで重要なのは、仲間の意見が変わったタイミングです。スプレッドシートを活用することで、考えが変わったことがリアルタイムで画面に写し出されるので、「今意見を変えたのはどうして?」などの対話が生まれやすくなると考えます。
すべての子どもの考えが一覧で表示される
画面には、すべての子どもの考えが表示されます。人数が多い教室などでは、物理的に知りえなかった仲間の意見を、簡単に手元で確認できることは大きなメリットです。1人ずつ意見を表明して全体に伝えるということも良さはあると思うのですが、ここでは発言の有無にかかわらず、子どもたち同士が全員の意見を確認できるということをねらっています。
また教師目線で考えると、授業後に全ての子どもの考えが可視化されているので、評価等にも活用しやすく、業務改善にもつながると考えています。
考えを、文字入力して共有することも可能
考えを文字入力して共有することも可能という点も、スプレッドシートを選んだ理由の1つです。タイピング能力が必要となるので、学年や個人によっては活用が難しいのですが、文字入力が可能ならば意見共有に適していると思います。
考えの可視化によって、対話が活性化した
スプレッドシートで心のメーターを可視化したことによって、子どもたち同士の対話が活性化したことは、かなり実感としてあります。
「メーターの場所が同じなのに考え方は違う」や「メーターの場所は違うのに考え方は似ている」などに気づくことで対話の深まりにつながるケースが多かったです。
また、リアルタイムで心のメーターの変化を共有することができ、子どもが互いの意見が変わった瞬間(他の人の意見を聞いた時など)に「今、こういう気持ちに変えたのはどうして?」など、子どもたち同士の対話のきっかけとなることが多かったです。
また、考えが変わった理由などを授業者がその子にタイムリーに投げかけて、クラス全体で考えを深めるきっかけにもなりました。
課題や改善点も
一方で、以下のような課題や改善点もあります。
- 1人1台端末でスプレッドシートに入力し、教室の大型テレビでも全体共有する方式としたことで、あらゆる場所に画面があり、児童の集中力を欠く結果となる可能性がありました。
- 児童が端末の操作に慣れるまでに時間がかかりました。慣れるまでは、考えをまとめるよりも端末の操作がメインとなってしまった部分もあります。
これらの課題をふまえつつ、考えを可視化する方法については他の方法も検討し、ねらいに迫る最適な方法を考えていく必要があると思っています。端末の活用やスプレッドシートの活用は単なる手段にすぎません。今後も私自身、手段ににこだわらず、よりよい形を模索していきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。