小学校2年生の算数で学習する「かさ」の単元では、
- L(リットル)
- dL(デシリットル)
- mL(ミリリットル)
などの単位を学習します。L(リットル)やmL(ミリリットル)は日常的によく使う単位ですが、dL(デシリットル)は日常であまり使いません。
この記事では、そんなdL(デシリットル)を小学生がなぜ学習するのかという疑問について解説していきます。
そもそもdL(デシリットル)はどんなとき使われる?
そもそもdL(デシリットル)はどんなときに使われるのでしょうか?
調べてみると、dLはヨーロッパなどではよく使われる単位のようです。また、血液検査の単位にも使われています。
しかし、日本では日常的にはあまり使われていません。学校の授業でしか使ったことがないという人も多いかもしれません。
dL(デシリットル)という単位の意味
改めて、dL(デシリットル)という単位の意味を確認していきましょう。
- 1dLは、1Lを10等分した1つ分
- 1Lの10分の1が、1dL
- 1L=10dL
- 1dL=100mL
など、さまざまな説明ができます。
この事実だけでは何ということはありませんが、実はここには、dL(デシリットル)という単位をあつかう面白さが隠されているのです。
「表記上のルール」がわかれば、他の単位にも応用が可能
dL(デシリットル)をd(デシ)とL(リットル)に分けて考える
ここで、dL(デシリットル)を、
d(デシ)とL(リットル)
に分けて考えていきます。それぞれに意味があるのをご存じですか?
L(リットル)は、皆さんもよく知っている体積の単位です。
そして、d(デシ)には「10分の1」という意味があります。
実はここに、様々な単位に共通する「表記上のルール」が隠されています。
様々な単位に共通する「表記上のルール」
dL(デシリットル)だけでなく、多くの単位は、
(大きさを示す記号)+(基本の単位)
という表記ルールで表されます。
ここでいう「基本の単位」は、今回はL(リットル)です。
d(デシ)は「10分の1」という大きさを示す記号で、このような記号をSI接頭語といいます。つまり、
(SI接頭語)+(基本の単位)
が表記ルールということになります。
この表記ルールを理解した上で見ていくと、1dLは、1Lの10分の1(デシ)であることが、表記上明らかです。
この「表記上のルール」がわかれば、他の単位にも応用が可能となります。
その他のSI接頭語(大きさを表す記号)
他にどんな「大きさを表す記号(SI接頭語)」があるのかをほんの一部紹介します。子どもでも聞いたことのある記号も多く、授業で紹介すると盛り上がります。
1000分の1をあらわす「m(ミリ)」
- mm(ミリメートル)
- mL(ミリリットル)
- mg(ミリグラム)
などでよく使われます。m(ミリ)が1000分の1を表しますので、
1000mm=1m
のように、これらの単位が1000こ集まると基本の単位になるということがわかります。
100分の1をあらわす「C(センチ)」
- cm(センチメートル)
などで使われます。上のmm(ミリメートル)と同様、「長さ」で学習した1cm(センチメートル)という長さを、
1mを100こに分けた1つ分の長さ
のようにとらえなおすことができます。
100倍をあらわす「h(ヘクト)」
- ha(ヘクタール)
- hpa(ヘクトパスカル)
ha(ヘクタール)は、
100倍を表すh(ヘクト)と、面積を表すa(アール)を組み合わせた単位です。
1aは、100平方メートル(10m×10m)を表します。ですから、1haはそれの100倍である10000平方メートルを表すということになります。
このように、表記上のルールを知っていることで単位変換も容易になります。単位変換については以下の記事に詳しく書いていますので、ぜひお読みください。
hpa(ヘクトパスカル)は、圧力を表す記号pa(パスカル)の100個分の単位で、天気予報などで気圧を表す際などにつかわれます。
1000倍をあらわす「k(キロ)」
- km(キロメートル)
- kg(キログラム)
- kcal(キロカロリー)
k(キロ)は、個人的には最も日常で目にするSI接頭語かなと思います。
1000000倍をあらわす「M(メガ)」
- MB(メガバイト)
- Mpi(メガピクセル)
M(メガ)は、パソコンなどのデータ量などを表す場面でよく目にします。
「大きさを表す記号(SI接頭語)」としてとらえることが単位表記を理解する上で重要
日ごろからなじみのあるものも含まれるこれらの記号を、「大きさを表す記号」としてとらえられるかどうかが単位表記を理解する上で重要です。
その他の「大きさを表す記号(SI接頭語)」については、以下の記事で紹介しています。
dL(デシリットル)を学習することで、他の単位でも単位表記に注目できるようになる
ここで、改めてdL(デシリットル)という単位をあつかうことを考えてみます。
あまりなじみのないd(デシ)をあえて扱うことで、d(デシ)が「大きさを表す記号」であることに着目しやすくなると私は考えます。具体的には、
- d(デシ)は1/10を表すので、大きさの計算やイメージがしやすい。
- 1/100を表すc(センチ)や、1/1000を表すm(ミリ)に比べて日常的に使わないため、単位表記の考え方に着目する上で都合が良い。
などが考えられます。絶対にdLでなければいけないというわけではありませんが、
d(デシ)は、大きさをイメージしやすく扱いやすい
ため、学習に適していると考えられます。
【結論】dL(デシリットル)は単位の表記方法を学ぶ意味で必要
ここまでの内容をふまえた、私なりの結論は、dL(デシリットル)そのものを覚えるというより、
単位の表記方法を学ぶ意味で、dL(デシリットル)をあつかっておくことは必要
です。単位表記の基本的なきまりを理解すれば、世の中の様々な単位に対する解像度を高めることにつながります。
また、日頃目にしている単位について子どもがとらえなおす場を与えることで、算数を学ぶ意義や楽しさを感じられると考えられます。
最後までお読みいただきありがとうございました。