学校や教員への影響は?盛山正仁文部科学大臣の発言を整理して解説

教員の働き方や指導法

学校教育を管轄するのは「文部科学省」です。そのトップである文部科学大臣の発言には、学校教育がどう変わっていくのかという点で注目していく必要があります。

そこでこの記事では、2024年2月現在の文部科学大臣である盛山正仁(もりやままさひと)氏の文部科学大臣就任後の学校教育に関する発言について整理した上で、学校や教員への影響について解説していきます。

簡単な経歴等

まずは、盛山正仁さんの経歴を簡単に説明します。

画像引用元:首相官邸ホームページ

プロフィール

生年月日:昭和28年12月14日

出身地:大阪府

衆議院議員議員(当選5回)

簡単な経歴

  • 昭和52年3月…東京大学卒業
  • 昭和52年4月…運輸省入省
  • 平成17年8月…国土交通省総合政策局情報管理部長
  • 平成17年9月…衆議院議員 初当選
  • 平成25年3月…神戸大学大学院法学研究科修了 博士(法学)
  • 平成26年3月…神戸大学大学院経営学研究科 博士(商学)
  • 平成27年10月…法務副大臣兼内閣府副大臣(第3次安倍改造内閣)
  • 令和5年9月…文部科学大臣(第2次岸田第2次改造内閣)

学校教育についてのこれまでの発言(文科相就任後)

ここからは、文部科学大臣に就任後の盛山正仁氏の発言について書いていきます。

文部科学大臣としての意気込み、やりたいこと

2023/9/14文部科学大臣就任時会見にて

私、社会人になりまして運輸省、国土交通省、あるいは経済企画庁ですとか環境省、そんなところにおりましたけれども、文部科学の分野とはそれほど近くなかったものでございますから、これから勉強しながら一所懸命取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。強いて言いますならば、落選中にですね、大学で教えた経験、あるいは大学院で学んだ経験というものもございます。そういうものも生かしながら文部科学行政に少しでも貢献できればいいなと、そんなふうに考えております。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録(一部略)

大臣としての意気込みを聞かれた盛山氏は、「文部科学の分野とはこれまで近くなかったが、これから勉強していきたい。落選中の、大学で教えた経験や大学院での学びを生かしたい。」と答えています。

つまり、盛山氏はこれまで、文部科学分野からは遠い分野で活動してきたということがわかります。これについては、「内情をよく知らない」というネガティブな見方や「知らないからこそ広い視点で考えられる」というポジティブな見方の双方の見方ができるでしょう。

GIGAスクール構想

1人1台端末の更新費用のこと(2023/9/14文部科学大臣就任時会見にて)

1人1台の端末の更新、そして地域間の格差の解消ということで、GIGAスクール、そして1人1台端末を公教育の必須のツールとして着実に更新していくということを要求して盛り込んでいるところです。

中略

新型コロナの影響もあって、学校が登校停止になりました。それでオンラインを今までやっていなかった学校は必要に迫られてせざるを得なかった、そしてそういうことも含めて支援をできるタイミングだったから予算もついてなったわけです。それが今度要求をして仮に認められるとすると、一度認めるということはたぶん恒久的な制度になるということになりますので、一回こっきりではないということになりますので、そこら辺については財政当局、大変厳しい対応をしてくるかと思います。もちろん我々もしっかり頑張らないといけないわけでありますけど、国と地方公共団体の役割分担も含めてですね、どこまでどういうふうにしていくのかはこれからになります。我々は要求官庁としては頑張りますけれども実際にどういう結果になるかはもうしばらくお時間を頂戴したいと思います。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録(一部略)

GIGAスクール構想の1人1台端末の更新費用について問われた際の発言です。GIGAスクール、1人1台端末は公教育の必須のツールとして認識されているようです。

そのための予算請求についても前向きに取り組んでいくという考えが伝わってきます。

今後も1人1台端末という大きな方向性に変更はないと考えて良いのではないでしょうか?

教員不足について

2023/9/14文部科学大臣就任時会見

正直名案はございません。これはでも教員だけではないと思うんですね。(中略)どこであっても働き手が不足している、そんな中で教員について特に、他の分野以上に特に厳しいんじゃないかと、こういうふうなことが言われているということではないかと思います。文部科学省としましてもいろんな働き方改革への支援というのは行っておりますので、教員の皆さんの学校の中での授業というか労働時間というか在校時間というか、これをどのように短くしていくのか、長時間労働をどうやって減らしていくのか、そういうようなことは骨太の方針ですとか中央教育審議会の緊急提言、こういったことを踏まえてやっていきたいと思っております。具体的にこれという名案が今あるわけではないんですけれども、私自身も子供の頃のことを考えると、高校生ぐらいになりますとね、あの教師、あの先生馬鹿なことを言っているなとか批判的な目で見るようにはなりましたけど、少なくとも小学校ですとか中学校ぐらいまでは先生というのは絶対的な大事な存在で、先生が言うことは何も疑問を感じないで普通、そうだなと思うわけでございますので、立派な先生方にどうやってうまく今後とも教育を支えていただくのかであり、そしてまた自分は教員になってですね、子供を育てていこうと、子供の未来を作っていこうと、そういうふうに思っていただけるのか、そういうふうに思えるような職場環境というか労働環境というか、それをどのように作っていくことができるか、それのお手伝いがこれからできる限りしていくことができればなと思っております。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録(一部略)

教員のなり手不足については「名案はない」と明言しています。ある意味で正直な発言だとも受け取れるでしょう。その上で、授業や労働時間、在校時間をいかにして減らしていくかを、骨太の方針や中教審の緊急提言なども踏まえて進めていきたいと述べています。

すぐには具体的な施策は期待できないかもしれませんが、働き方改革を進めていくという考えは確認できます。今後の具体的な方針などを期待したい所ですね。

教師不足の解消に向けた具体的な取組の調査の狙いと、調査結果の反映を含む今後のスケジュールについて(2024/1/26会見)

先日23日に開催いたしました都道府県・指定都市教育委員会教育長会議では、特に教師不足への対応について、子供たちのために十分な指導体制を整えるのは私たち大人の責任であるという認識のもと、教師人材の確保に向けた取組の強化をお願いしたところです。その上で、各教育委員会が教師不足の解消に向けて、具体的にどのような見通しを持って取り組む計画なのか、見込まれる効果も含め状況の把握を行うため、同日、都道府県・指定都市教育委員会に対して、調査を依頼いたしました。調査結果を受けた対応については、教育委員会からの回答を踏まえた上で検討することとしておりますが、例えば、対応の遅れが懸念される教育委員会に対しましては、国の補助事業の活用や他自治体の先導的な取組の導入など、必要な指導・助言を行うことを考えています。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録

「子どもたちのために十分な指導体制を整えるのは大人の仕事」という考えのもと、各教育委員会がどのような具体的方策を計画しているのかという調査が必要という考えのようです。

また、調査結果を受けた後の具体的なスケジュールについては定まっておらず、回答内容を踏まえての対応になるということでしょう。

これについては、調査後の具体的スケジュールについて定まっていないという点については気になる所ですが、実際の調査結果をもとにどのような対策を進めていくのかに注目したい所です。

子どものいじめ、自殺、不登校について

2023/9/14文部科学大臣就任時会見

不登校で学習が中断するというんですかね、ストップする、そういうようなお子さんをできるだけゼロにしようということで、今年の3月末に誰1人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」というのを作って現在、取組を関係省庁とも協力をしながら推進しているというところでございます。いろんな理由があるんだろうと思います、お子さんそれぞれによって。そういうようなそれぞれのお子さんに寄り添う、それぞれのお子さんの事情、こういったものをよく理解をしながら、楽しく学校へ通えるような、学校というのは勉強するだけではなくて遊ぶ、友達を作る場でもありますので、そういうふうな、学校に行きたいなと、朝起きたら学校に行って誰かと何かしたい、そう思えるような環境をうまく整えられるようにしていくことが大事じゃないかなと思います。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録

不登校等による学習の中断を出来るだけゼロに近づけることが大切だという考えのようです。誰1人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」を進めていく考えを明らかにしています。子ども一人ひとりの事情に寄り添いながら、学校に通いやすくなる環境整備の重要性について言及されていました。この場では、いじめと自殺についての言及はありませんでした。

教育実習を行う際の受け入れの条件について

愛知県、名古屋市が採用試験の受験を受け入れ条件としていたことについて(2024/1/30会見)

教育実習生を受け入れる際の手続につきましては、各学校や教育委員会が、教育実習生の所属する大学と調整の上で行うものでありますが、お尋ねのあった愛知県と名古屋市のような条件を付すことは、他の自治体でも一般的に行われているものとは認識しておりません。教育実習は、学校現場での教育実践を通じて、学生自らが教職への適性や進路を考える貴重な機会であることから、採用試験を受験する地域にかかわらず、教師を目指す学生に対して、その機会を確保することが重要であると考えています。愛知県教育委員会に確認しましたところ、先ほどおっしゃったとおり、愛知県においては、今後、この取扱いを見直す方針であるというふうに伺っているところです。そして、現時点では、他の自治体に対しまして調査等を実施することは考えておりませんけれども、会議などの場で、学生に教育実習の機会を適切に確保するよう、注意喚起をしてまいりたいと考えています。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録

まずは、愛知県と名古屋市のように「教育実習の条件として採用試験の受験を挙げていること」については、一般的に行われているものではないという認識とのことです。その上で愛知県に確認をとり、指示という形ではなく、「この取り扱いの見直し」との愛知県の考えを容認しているように受け取れます。また、この件について他の自治体への調査等は今のところ行わないようです。

また、この回答後に記者から「教育実習を受け入れる学校の多忙化が背景にあるのでは?」との追加の質問がありましたが、それに対しては「詳しく承知していない」と回答しました。

記者からの質問にもあったように、免許取得にあたっては受け入れ学校の多忙化の問題もあります。その辺りを考慮した上で、対策を検討してほしいですね。

教員不足解消のためにも、免許状そのものは採用試験の受験の有無に関わらず認めるべきではないでしょうか?教員不足については以下の記事で詳しく書いていますので、よければお読みください。

教員不足と採用試験の倍率低下はなぜか?データでわかりやすく解説

教員以外からの転職という選択肢を増やすことも教員不足解消につながります。社会人が教員免許を取る方法については以下の記事をご覧ください。

大学以外での教員免許の取り方!教員資格認定試験の難易度等を解説
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大谷翔平選手のグローブ寄贈について

お礼のメッセージ送付について(2024/2/2会見)

大谷翔平選手から全国の小学校等にグローブを寄贈していただいた件でございますが、一昨日1月31日付で、私から大谷選手に宛てた御礼のメッセージを送付いたしました。メッセージの中では、今回の寄贈が、子供たちが野球に関心を持つきっかけになるだけでなく、夢を持つことや様々なことに挑戦することの大切さを学ぶ機会となっていることについての、感謝の気持ちをお伝えさせていただきました。大谷選手の益々の御活躍を祈念するとともに、文部科学省としても、あらゆる人々がスポーツの持つ魅力を十分に享受できるよう、引き続き、誰もがスポーツを身近に楽しめる環境づくりを進めてまいります。

文部科学省ホームページ:盛山正仁文部科学大臣記者会見録(一部略)

全国の小学校にグローブを寄贈した大谷翔平選手に対して、お礼のメッセージを送付したことを述べています。

  • 子どもが野球に関心を持つきっかけとなっていること
  • 夢を持つことや様々なことに挑戦することの大切さを学ぶ機会となっていること

の2点について、感謝の気持ちを述べられました。各校でのグローブの活用についての言及はありませんでした。

大谷選手からのグローブの活用法については、以下の記事で詳しく書いていますので、お読みください。

盛山文科相が感謝も使い方が分からない…小学校での大谷グローブ活用法5選
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まとめ

学校教育を管轄する文部科学省のトップである文部科学大臣の発言には今後も注目していく必要があるでしょう。もちろん、大臣だけでさまざまな施策を進めていくわけではありませんが、大臣の考えによる影響は決して小さくはないと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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