仕事を休むことは、どの仕事でも少なからず抵抗があることかもしれません。中でも教員は、クラスや授業を1人で担当していることが多く、自由に休みを取りにくい仕事の一つと考えられます。
しかし、休みを取ることは当然の権利であり、実際に休みを取る方も多くいます。私も、頻繁に休むわけではありませんが、必要な時には休みを取得しています。「先生だって休める!」のです。
この記事ではそんな私の実体験から、「先生だって休みたい!」と考える教員の方に向けて、年休を取得しやすくする方法について書いていきます。
教員が取得できる休みの種類は?
まず、教員が取得できる休みの種類を確認しましょう。教員が取得できる休みには、
- 年次休暇
- 特別休暇
- 育児休業
- 療養休業
などがあります。育児休業については、以下の記事で詳しく書いています。
この記事で説明するのは、主に「年次休暇(いわゆる年休)」を取得しやすくする方法についてです。年次休暇というのは一般的に言われる有給休暇と同じ意味で、給料の減額を伴わない休暇のことです。基本的には年間で20日間の取得が認められており、消化し切らなかった場合には翌年に繰り越すことができます。
教員が年休を取得しやすくするための方法7選
ここからは本題の「教員が年休を取得しやすくする方法」について解説していきます。
日頃のスケジュール管理とタスク管理で引継ぎ業務を明確にする
まずは、日頃の「スケジュール管理」と「タスク管理」で引継ぎ業務を明確にすることが大切です。
年休を取得している間も、当然児童生徒は登校していますから、他の職員に代わりに授業などを担当してもらうことになります。日頃からタスク管理が疎かになっていると、代わりの職員に何の業務をどれだけ頼めばいいのかわかりません。また、スケジュール管理ができていないと、代わりの職員が急な対応をせざるを得なくなることがあります。
日頃のスケジュール管理とタスク管理で引継ぎ業務を明確にしておくことで、休みを取る時の業務の引き継ぎをスムーズに行うことができます。そして結果として、休みを取りやすくなります。
スケジュールやタスク管理の具体的な方法については、以下の記事で詳しく書いていますのでぜひ参考にしてください。
子どもが自分で丸つけと直しをできるようにする指導
休みを取る間の授業では、授業で進めた所までの内容について、ドリルなどで定着をはかるような学習を自習課題として出すことがあります。
その時に、子どもたちが「丸つけ」と「直し」を自分でできるように指導しておけば、学習効果を高めることができます。また、本来の趣旨とは違いますが、教員の負担軽減にもなります。代わりに入ってもらう職員に丸つけをお願いすることも、別の日に自分自身が丸つけする必要もないからです。
丸つけと直しを子どもが自分でやるように指導する方法については、以下の記事で詳しく説明しています。
私は担当学年に関わらず、4月のはじめに丸つけと直し仕方について指導を行い、毎日の宿題で日常的に取り組ませて定着をはかっています。
自主学習のやり方を定着させておく
課題を教師が設定する学習に対して、学習内容を子ども自身が決めて取り組む「自主学習」も、休みを取る日の学習として有効な活動の一つです。
前向きに考えれば、普段通りの授業がストップしている間に、わからない所をじっくり確認したり、発展的な問題に取り組んだりするなど、子どもたちが各自のペースで学習を進める有意義な時間となり得ます。
「自主学習」は、単なる自習時をしのぐための学習ではなく、自ら学びを選択する力をつけるための活動です。自主学習についての具体的な指導法などについては、以下の記事に詳しく書いています。
注意点としては、自主学習のやり方が子どもたちに定着していない状態で、休みを取る時の自習課題としてしまうと、子どもたちの混乱を招くことになるということです。また、子どもたちが混乱するということは、代わりに入ってもらう教員に迷惑がかかるということです。丁寧に指導し、子どもたちにしっかりと定着した状態で行うようにしましょう。
日頃からクラウドで他の職員と情報を共有しておく
事前に休むことが決まっていれば、早めに準備をして他の職員にお願いすることができますが、急な都合でお休みをいただくことになった場合にはそうはいきません。
そこで大切になってくるのは、クラウドを活用して職員間の情報共有を行うことです。急にお休みとなった職員のクラスの予定が他の職員に共有されていなければ、代わりの職員がどのように対応すればいいのかすぐに計画することができません。
時間割などは日頃からクラウドを活用して共有しておくことで、急なお休みなどにも対応してもらいやすくなるといえるでしょう。
休みは2週間前には申請して代わりの計画を立てる
急な体調不良の場合には仕方ないですが、個人的な都合などで年休を取得する場合には、2週間前には申請をしましょう。
これは、申請そのものがその時点で必要という訳ではなく、代わりの授業計画や他の職員への依頼などを早めに行う必要があるということです。
2週間前であれば、専科の授業がある場合にその日に授業をずらしてもらったり(小学校)、担当授業を別の日に交換してもらったり(中学校)するなどの調整が可能な場合が多いです。
また、代わりに入ってもらう同僚も、早めに知ることで自分自身の計画を立てやすくなるでしょう。代わりをお願いする立場としては、より早い方が誠意が伝わりやすくなります。
日頃から同僚と良好な人間関係を築く
日頃から同僚と良好な人間関係を築くことも、休みを取りやすくするための大切な要素の一つです。
休みを取得することは権利であるとはいえ、当然周りの同僚負担を増やすことになります。日頃から同僚と良好な関係を築けていれば、快く代わりを引き受けてくれるでしょう。そして、その方がお休みする時には、率先して代わりに授業に入るなどすれば、「お互い様」です。
もちろん、休むことは権利ですから人間関係が悪いからと言って休めない訳ではありません。しかし、そこはお互い気持ちよく仕事ができるよう、お互いへのリスペクトや支え合おうという姿勢が重要です。そうすることで、職場全体が休みを取りやすい健全な職場となっていくといえます。
日頃から安定した学級・授業運営を行う
日頃から安定した学級経営や授業運営行っておくことも、休みを取りやすくするという視点でも重要になってきます。
学級が荒れている状態では、1日お休みしてクラスから離れるという選択をしづらくなります。また、トラブルが発生すると代わりの職員に迷惑がかかったり、休み明けにトラブルの処理必要になったりすることを考えると、なかなか休みを取るのも気が重くなります。これは、過去に私自身がそんな気持ちを経験したからこそわかることです。
ですから、休みを取りやすくするという視点からも、日頃からの安定した学級経営はとても重要だといえます。それができれば苦労しないよという、元も子もない話にはなってしまうかもしれませんが…。学級経営については以下の2記事で書いています。もしよければお読みください。
さいごに
休みを取りにくいと言われがちな教員という仕事でも、しっかりと休みを取ることができます。休みを取るという当然の権利が当たり前になってほしいという想いもあってこの記事を書きました。休みを取りづらいと感じている教員の方はもちろん、教員を目指す方などにもこの記事が届き、少しでもお役に立ててもらえたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。